それで終わりじゃないでしょ

はらぺこあおむしのごとき私の齧り跡を並べています

手術〜ICU

昨年末に心臓手術(TCPC conversion およびペースメーカー埋め込み術)をしました。
子どもの頃にフォンタン手術(APCフォンタン)を行いましたが、長年の蓄積でいろいろと不都合が出てきていたので再手術です。
先天性心疾患の手術をするには私は高齢の部類に入るので、まだ元気な今がラストチャンス!といった感じでもありました。


数回に分けて今回の手術の経過や感じていたことを記事にしていきます。
お付き合いいただけるとうれしいですが、最初の記事から思いのほか長くなってしまったので、無理せず離脱自由な感じで読んでいただけたらと思います。







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術前はそこまで緊張することもなく、睡眠剤をもらうこともなく。(ヒマだった笑)
怖くないの?と言う友人もいましたが、何をどう怖がればいいのか私にはイマイチわかりませんでした。
逆に怖がったりせずふわふわと当日を迎えて、私こんなんで大丈夫なんだろうか?何かやり残していないだろうか?と不安になったりしました。

当日朝、術衣に着替えて抗生剤の予防投与の点滴を落としていると夫と両親が来てくれました。
いつも思うんですけど、始まってしまえば本人は何も感じないわけで、長々と待つ側が一番大変ですよね。どれだけ心配してもできることはないし。
(外で)やることがない時間が続くのが苦手なので、オペ待機は私には本当につらいだろうと思います。


手術室へは看護師さんと歩いて行き、準備室?みたいなところで麻酔科の先生や執刀医の1人やオペ室の看護師さんが迎えてくれました。
そこで座って本人確認と同意書確認。
同意書を見て今日の手術の内容を音読するよう言われました。

その後手術室に入って手術台へゴロン。
最近の手術台はとても良くなっているとどこかで目にしていたので、ゴロンとしてみて、おお〜確かに!と思いました。
上に引いたパッドなど込みでフッカフカでした。
まあ狭いんで、寝心地が良いとは言えませんが。
同時にそこに来て改めてリアルに手術するんだなぁと感じました。
あーここで切り貼りされるんだなぁという感じでしょうか。

ゴロンすると血圧計やらパルスオキシメーターやら付けられて、麻酔科の先生が手首の動脈をエコーで診始めました。
リアルタイムで動脈圧を測定するため手首の動脈を穿刺するとのこと。
同時に酸素マスクがフワッと載せられます。
私の手首の動脈は細いらしく、先生は迷いながら左右エコーして、「やっぱり右にしよう」と決まったらしいところで私の記憶はプツッと途切れました。
点滴のルートから麻酔薬を入れていたと思うんですが、いつ入れたのかわからなかったです。
鎮静だと効いてきてぐわん!ってなって落ちる感じなんですが、麻酔はそんな前兆を感じる隙もなく意識がなくなりました。
幽体離脱して自分のオペを見たいなぁと思っていたのですが、全くそんな余地はありませんでしたね。離脱するその幽体が気を失っているんですから…笑。



目が覚めるとベッドに寝ていてICUだとわかりました。
暗かったので「今、夜ですか?」と看護師さんに聞いて「そう。夜だよ。」と返事をもらい、あー早く終わって早く目覚めたんだなぁと思いました。
手術時間は8時間〜、麻酔から覚ますのは翌日と聞いていたのです。実際にも8時間ちょっとかかったようですが、なんとなくすごく順調に終わったのだなぁと感じました。目を覚ましたのが当日か日をまたいで翌日かはわかりませんが。
そして目が覚めたときには人工呼吸器が入っていると聞いていたのですが、入っていませんでした。
一度目が覚めて人工呼吸器を抜いたようですが、そこの記憶は全くありません。
人工呼吸器抜管のときの様子を後から外来の主治医が教えてくれました。
主治医は循環器小児科(外科ではなく内科)なのでオペには直接は関わっていないのに、気にしてくれて様子を見にきてくれたことがすごくうれしかったです。

ICUでは何がつらいのか訳がわからないのですが身の置き所がないような感じで何かが苦痛で、あーーなんでオペなんてすることにしちゃったんだろう…とわかりやすく後悔したりしました。
嘔気嘔吐は私は軽い方でしたが塩気の味(普通のご飯やおかず)を全く受けつけなくて、お茶とデザートについているフルーツやジョアなどだけ食べていました。
人工呼吸器や経食道心エコーなどの管の影響か、物を飲み込むのがしづらく大きめの錠剤を飲むのが大変でした。
痛みはそこまでではないかな?と思ったくらいでしたが、レントゲン撮影のための板を背中に入れるとか枕を頭の下に入れるなどの動作に悶絶。そして一番は咳で、咳には最後まで悩まされました。

私が一番つらかったのは、ぼーっとしてしまって気を抜くとすぐに寝てしまうことでした。
傾眠状態のような感じで、起きていたいのに意識がどっかにいってしまうのです。
刺激しようと思ってTVを見ても何も入ってこないし疲れるだけ、気分も悪くなって無理でした。(ICUのベッドからは歯医者さんにあるような小さなTVが見られるようになっていました。)
起きているのもつらいし、でも1日中寝ているようではダメだし…と、自分の中でせめぎ合っていました。


そんな中でも知った先生が何人も様子を見に来てくれて、皆に元気だ順調だと言われ、その気になって元気づけられつつ過ごしました。
そして無数についている管が少しづつどんどんと抜けていってどんどん身軽になっていく感覚、毎日どこかが昨日より確実に良いという感覚はなかなかダイナミックで外科手術後の醍醐味(?)のような気がしました。
こんな感覚は日常では味わえませんから。



そんなおかげで ICUでは1日半、その後HCU(準集中治療室)では丸1日を過ごした後、病棟に戻りました。順調過ぎるほどの経過を過ごせてとてもありがたかったです。
オペが大きな問題なく進み人工心肺を回した時間が短かったことが、回復が早い理由でもあるようでした。