それで終わりじゃないでしょ

はらぺこあおむしのごとき私の齧り跡を並べています

子どもが欲しかった子なし女の話②

つづきです。

harapekoikko.hatenablog.com



「ダメ」と言われながら、「できる気がする」と思いながら、
数回通院するうちに私は結婚しました。

そして夏休みを利用してカテを受ける事に決めました。
新たにお世話になることに決めた病院では、カテ入院でも日付を決めて予約は出来なくて、
ざっくりと時期を決めて予約しておいて、病床や検査の状況に応じて直前に日程の連絡が来る方式。

職場で健康診断は受けていても「子どもの頃にちょっとね」程度に
嘘をつかないギリギリのラインでのらりくらりと現状を告げず受け流してきた私でしたが、
お休みの日程を入院の都合に合わせてもらわなければならなくて、、
ものすごい勇気を出して、初めて上司に相談・お願いをしました。
それでも病気のことはちゃんと話さずに、、
「ちょっと検査入院する必要がありまして」となんだかよくわからない頼み方。
今考えると、よくいろいろと聞かないで休み取らせてくれたな..と思います。
それくらい、上司も聞きづらかったというか、私があまり話したくない雰囲気を感じてくれていたのだと思います。

その頃の私にとって病気は「弱み」で、「知られてはならない事」で
「自分一人で何とかしなきゃいけない事」で、
病気のことを理由にするのは「負ける事」「甘える事」でした。


カテ入院は土日入れて10日もかかりました。
子どもの頃にオペした病院からも資料を取り寄せてくれたり、
いろいろな検査をしてすごくしっかりと調べてくださり、最後にカテとなりました。

カテ前の説明でも、妊娠・出産に必要な条件と私の現状と、、
なかなか厳しそうな内容を具体的に説明してくれました。
それでも私は一縷の希望もあるような気がしていました。



カテは4時間かけてしっかり調べてくださいました。
安静の時間中、先生が部屋に寄ってくれて家族になにか話してくれようとしたみたいでしたが、
淡泊なウチの家族はその頃には全員帰宅していました(笑)
また、主治医ではない誰だかよくわからない先生が来て、
「こうなってますね~」とわかるようなわからないような話をして去っていったのをなぜかよく覚えています。

安静中とその夜と、私はフォンタン後で出産された方のブログをずーっと読んでいました。


退院は私のおぼろげな記憶では翌日のように思えるのですが、
今の普通の流れだと翌々日なんですよね。
だとすると、間の1日の記憶がまるっきり無いです(笑)
その頃は翌日退院させてくれてたんだろうか??

ともかく、退院の日は平日で、私は一人でキャリーバッグを引きずって帰りました。

退院の日の帰る直前に、外来の主治医が病棟に来て話をしてくれました。
この時も、主治医は私の家族がいないことについて不本意そうでしたが、
IC室で看護師さんが一緒に話を聞いてくれました。

先生は説明用紙2枚にぎっしり書いてきてくださって、上から順に説明してくれました。
話が進むにつれて、なんとも嫌な感じがしてきて、、
「ダメ、、それ以上言わないで...」と思うか思わないかのところで
おなじみの『妊娠はお勧めできません』の文言が。
その枕詞には『妊娠・出産に耐えられない心臓である』『母子ともに生命が危険にさらされるので』。
それにとどまらず、その場で先生が『禁忌』と用紙に書き足しました。
(私のこと、よくわかってますよね。「お勧め」できなくても「出来る」んじゃない?という考えにNO!と釘を刺してくれました。)


感情より先にぼろぼろと涙がこぼれてきて、
先生はティッシュを差し出してくれて、看護師さんも見守ってくれていて。
受け止めきれない事実と人のやさしさが同時にすごい圧で私に向かってきた体験でした。

話はそこで終わらず、
「妊娠・出産とかいう以前にこれからこんな問題が起きてきますよ」という
時限装置みたいな予言みたい話が続き、、
とにかくなんとか受け止めて、涙を止めて家に帰らなければと必死でした。

必死で笑顔でお礼を言って家に帰ったけど、
家についたら一人でまた号泣、夫帰宅でまた号泣(笑)

でも翌日から何事もなかったように出社して仕事をしました。
何が悲しいのかもよくわからないくせに、しばらくは仕事中も気を抜くと涙が出そうになったりしていました。



たぶん子どもが持てない事そのものよりも、
病気が理由で
「自分の力ではどうにもならない事」「がんばってもどうにもできない事」があるということを否定できない形で突きつけられて、
それが私にはどうしても受け入れ難く、苦しかったんだと思います。

だけど、それは私が一番受け入れなければいけなかった事でもあって。
あの時、必要があってあの体験をしたんだなぁと思いますね。





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( ˘ω˘)スヤァ

...まだつづくよ(;'∀')